こんにちは、くすだです。
2025年度3月号の『企業と人材』(産労総合研究所)より、ブログでの要約レポを始めました。
企業に属さずフリーで活動している私にとって、こうした専門情報誌で最新のトレンドに触れることは非常に重要だと改めて実感しています。
この機会を「読んで終わり」にせず、学びを整理しながら共有していくために、今後は定期的にブログへまとめていきたいと思います。
前回は『企業と人材』2025年7月号より、「ハイパー・チームマネジメント」を導入した企業の事例記事をまとめました。
今回は『企業と人材』2025年7月号より、マネジメント支援に関する特集記事を取り上げます。
特集と記事のタイトル
【特集】戦略実現に向けたマネジメント支援とは?
○管理職の役割と変化と求められる支援
(法政大学 キャリアデザイン学部 教授 坂爪洋美)
○部長の役割を分業する「三位一体」への変革で経営・部門戦略の連動と最適な運営体制を構築
(日揮コーポレートソリューションズ株式会社 人財部長代行 岸田一成)
○「リコー式ジョブ型人事制度」で管理職の役割を明確化
柔軟なポジションオン/オフで適材適所を目指す
(株式会社リコー 人事総務部 C&B室 室長 中村幸正)
○戦略実現に向けたマネジメント支援とは
PeopleX 橘大地氏に聞くマネジメント業務でのAI活用
(PeopleX 代表取締役 橘大地)
■特集の概要
管理職や管理職を取り巻く状況に対して、会社・人事部門ができる支援とは?
■特集記事(4件)の要約
- 近年、人事部門から「管理職に対する支援の必要性」の声が多くあがっている。
- 管理職が若手社員から見て魅力的なキャリアパスではなくなりつつある。
- 管理職自身も、自らの役割に自信や誇りをもてなくなってきているのでないか。
- 管理職の役割は、業務を円滑に進めるために、仕事の枠組みを構築し、スケジュールを設定し、管理すること(ミンツバーグ)。
- 管理職に求められる役割は変化してきており、その一つに、「理解すべき部下の情報の拡大(育児や介護、本人の健康状況、キャリア意向など)」がある。
- 管理職に必要な支援として様々なことが考えられる。登用基準の再構築、スキルの可視化、役割と負担のバランス調整、裁量権の見直し、AIなどの支援ツール・技術の活用、管理職同士が学び合う場の整備など。
- 日揮コーポレートソリューションズは、機能別の「部門」と案件別の「プロジェクト」を行き来するマトリックス型の組織で、MSE様と共通している。「部門」では部長が責任者だが、「プロジェクト」ではプロマネやリードエンジニアがまとめ役になる。部長は、自部門の組織運営とあわせて、プロジェクト遂行に必要なメンバーをアサインできる体制を整えておく必要がある。(部長の負荷や難度の高まり)
- リコーは、一般的な「ジョブ型」を自社の目的に合わせてアレンジ。ジョブディスクリプション(職務記述書)の作成は行うが、ジョブの終了=「退職」ではなく、管理職の役割の再定義と柔軟なポジションオン/オフの実現が目的。リコー式ジョブ型人事制度の特徴として、管理職をマネージャーとエキスパートに分けた点と、マネージャー/エキスパートからポジションオフした人を3年間の期限を設けて配置するアソシエイト・エキスパートという役職を設けた。
- AI活用によるマネージャーの負荷軽減が可能である。部下に関する情報取集・整理・分析はAIに任せ、人間のマネージャーは、「フィードバック」「コーチング」「メンタリング」に専念できるようになる。
おわりに
今回は、『企業と人材』2025年7月号より、マネジメント支援に関する特集記事をまとめました。
管理職に必要な支援として、登用基準の再構築、スキルの可視化、役割と負担のバランス調整、裁量権の見直し、AIなどの支援ツール・技術の活用、管理職同士が学び合う場の整備などがあげられていました。
日揮コーポレートソリューションズでは、管理職の中でも「部長」の負荷軽減に焦点を当て、従来の部長の役割だった「プロジェクトへのメンバーのアサイン」と「メンバーの育成」を分業し、新たにそれぞれの役割を担当する部長級の職を設けています(役割と負担のバランス調整)。
リコーは、マネージャーと同等の新たな区分としてエキスパート職を設け、これにより、管理職の役割の再定義・明確化と、現在の実力・意欲による抜擢の実現を目指しました。また、ポジションに必要なスキル・能力を維持できなければポジションオフもあるという考えを打ち出し、そのインパクトをやわらげるための一時的措置として「アソシエイト・エキスパート」という滞留期間3年の役職を新たに設けました(登用基準の再構築、スキルの可視化)。
また、PeopleXの橘氏は、AI活用によるマネージャーの負荷軽減についても言及していました(AIなどの支援ツール・技術の活用)。
こうした「仕組みを変える」「ツールを活用する」といった支援も大切ですが、管理職同士が率直に語り合い、学び合える場の存在も欠かせません。管理職の大変さを見聞きすることが多いからこそ、そうした場づくりに前向きに、そして真剣に取り組む必要があると感じています。
ところで、私が『企業と人材』を読むきっかけをいただいたのは、私がパートナー講師を務める株式会社ラーンウェルの関根雅泰さんが、2024年度の連載「研修の価値を高める これからの研修評価」を担当されていたからです。
研修評価については現在、研修講師をしながら理論と実践の両輪を回しているところです。
今後も、研修評価に関する記事は積極的に取り上げていきますが、それ以外にも、私自身が「いいな」と思った記事を、私なりの視点でご紹介してまいります。
次回もどうぞお楽しみに。