カウンセラーに必要な基本的態度と能力①~新版カウンセリング心理学/渡辺三枝子[著]より

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渡辺三枝子/著『新版カウンセリング心理学』(ナカニシヤ出版)を読んでいます。

大変参考になるので、自身の学びのためにも、一部抜粋してメモとして残します。

今回は「第5章 カウンセラーに必要な基本的態度と能力」の中から、「1 カウンセラーに不可欠の条件」と「2 カウンセラーに必要な基本的態度」についてご紹介します。

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目次より

第5章 カウンセラーに必要な基本的態度と能力

1 カウンセラーに不可欠の条件

2 カウンセラーに必要な基本的態度

3 カウンセラーに不可欠の技能

4 カウンセラーに求められる個人特性(行動特性)

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第5章 カウンセラーに必要な基本的態度と能力

・つまり、特定の理論や技法が他のものよりも、どんな場合にも誰にも効果をあげるということはない、というのが、専門家の一致した見解である。

・他方、何がカウンセリングを成功に導くかについては、成功したカウンセリング事例と不成功に終わったカウンセリング事例との分析から、かなり一致した結果が得られている。

・それらの研究が成功したカウンセリングと評価した事例とは、カウンセリング面接の結果、クライエントが問題解決をし、自分なりの行動をとるようになったり、建設的態度で自分の生活を営むようになったものである。

1 カウンセラーに不可欠の条件

・要するに、カウンセラーとクライエントとの間の関係はカウンセリング過程の中核であり、人間相互関係が確立せずしてカウンセリングも成立せず、目標に向かって発展もしない。

・では、カウンセリングに必要な人間相互関係の質とは具体的にはどのような特徴をもったものを指すのであろうか?その内容は、「クライエントが安心して、自分の表現したいことを表現でき、自分の問題を吟味し、自分で意思決定していくのを許す、恐怖感のない、温かい、自由な雰囲気をもつ」関係ということである。

・もう一つのポイントは、カウンセリング関係は専門的な関係であるということである。それは、カウンセリングの人間関係はクライエントが何らかの問題をもってきたところから始まり、問題を解決することによって終了する関係である。

2 カウンセラーに必要な基本的態度

・さらに、このような態度は、特殊な技法の訓練や模倣で身に付くものではなく、日々の生活のなかでの対人関係、特に他者に対する純粋な関心と、人間の尊厳性に対する畏敬の念を通して培われる態度であることを強調している。

・そして、カウンセラーはこれらの態度を経験し、さらにそれをクライエントに伝えられなければならない、と述べている。

(1)受容

・ここでいう受容は、ロジャーズが、「無条件の積極的関心」という言葉を使って表現している態度、また、カークハフの「非所有的温かさ」という態度と同じことを意味している。

・これは、人を他の人とは区別された一人の人として尊敬する感情であり、その人を所有する感情ではない。

・受容という態度は、また、カウンセラー側が受容したと思っただけでは成立しない。クライエントにそれが伝えられなければならない。ということは、クライエントが「このカウンセラーは、私を一人の人間として大切にしてくれている、あるいは価値ある存在として認めてくれている」という内的確信をもつということである。

(2)理解的態度

・それは、人はみな、常に新たな経験をしており、その経験を通して、新たな側面を加えたり、変化したりしているからである。

・原語のempathy(あるいはempathic)に共感(共感的)とか感情移入という日本語をあてはめたため、それ以来、本来のロジャーズの理論の意味と離れ、日本語が一人歩きしてしまった。その結果、ロジャーズの言う共感的理解を「クライエントの感情を共有するとか、同じように感じること」と解する人が多く現れるようになった。

・彼が強調したかったことは、共感はスタティックな「状態」ではなく、方向性をもって進行するダイナミックな行為であるということである。そのため、「カウンセラーは自分が理解したことをクライエントに伝えていくこと」の重要性を加えているのである。

・また、クライエントは、カウンセラーが理解したという内容を聴くことによって、それが自分の経験していることと一致するかどうかを判断し、その結果をカウンセラーに伝えらえるようにしなければならない。このような過程で、クライエントは自分を意識化し、客観的に眺めることになる。

(3)誠実な態度ー自己一致

・カウンセラーに不可欠な態度としての「誠実さ」とは、カウンセラーが、自分を自分以上にも自分以下にもみず、あるがままの自分を受け入れ、またクライエントに対しても自分を自分以上にも自分以下にもみせない姿勢をもつことである。

・たとえば、自分の能力や知識の限界を感じ不安になるかもしれないし、クライエントの話についていけず混乱してしまうかもしれない。そのような場合、誠実であるとは、まず、自分の内で経験している不安や混乱、クライエントに対する批判や賞賛の気持ちー内的経験ーを意識し、そのような状態にいる自分を否定せず、そういう自分を受け入れることができることである。ロジャーズはこの態度を「自己一致」という言葉で説明している。

・ここで注意しなければならないことは、自分の内面の状態に気付き、それを受け入れることと、それを表現したり、感じたままに行動することとは違うということである。

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今回は、渡辺三枝子/著『新版カウンセリング心理学』(ナカニシヤ出版)より、「第5章 カウンセラーに必要な基本的態度と能力」「1 カウンセラーに不可欠の条件」と「2 カウンセラーに必要な基本的態度」について、一部抜粋してご紹介しました。

さらに、上記で紹介した中で、個人的に特にこれは心に留めておきたい、という部分を再掲します。

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・カウンセリング面接の結果、クライエントが問題解決をし、自分なりの行動をとるようになったり、建設的態度で自分の生活を営むようになった

・カウンセリング関係は専門的な関係である

・特殊な技法の訓練や模倣で身に付くものではなく、日々の生活のなかでの対人関係、特に他者に対する純粋な関心と、人間の尊厳性に対する畏敬の念を通して培われる態度である

・受容という態度は、また、カウンセラー側が受容したと思っただけでは成立しない。クライエントにそれが伝えられなければならない。

・共感はスタティックな「状態」ではなく、方向性をもって進行するダイナミックな行為である

・クライエントは、カウンセラーが理解したという内容を聴くことによって、それが自分の経験していることと一致するかどうかを判断し、その結果をカウンセラーに伝えらえるようにしなければならない。

・誠実であるとは、まず、自分の内で経験している不安や混乱、クライエントに対する批判や賞賛の気持ちー内的経験ーを意識し、そのような状態にいる自分を否定せず、そういう自分を受け入れることができることである。

・自分の内面の状態に気付き、それを受け入れることと、それを表現したり、感じたままに行動することとは違う

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これらは、「望ましいコミュニケーションの基本」という言葉でまとめてしまうこともできると思います。

望ましいですし、基本。しかし、これが実際なかなか難しい。

だからこそ、この分野が「専門性」として確立されたのですね。

カウンセリングの場面にとどまらず、日常の中でも実践を重ねていくことが大切だと感じています。

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楠田 理恵くすだ りえ

リフェクション 代表

埼玉県生まれ。
明治大学法学部卒。大学卒業後、専門商社で16年間事務職に従事。最初の10年は、総務部にて人事、労務、採用、育成、庶務等、幅広く担当。この頃、「社員の相談窓口的な存在」「新入社員のフォロー役」という立ち位置を確立していった。
出産・育休を経て復帰後は、短時間勤務で働くいわゆる「時短ワーママ」を経験。また、2人目の育休から復帰後は、働きながら心理学を学び直し、キャリアコンサルタント(国家資格)を取得。

その後、子供2人の成長に合わせた「働き方改革」を段階的に進め、2021年に起業。
現在は、フリーランスのキャリアコンサルタントとして、企業研修、若手社員の1on1面談を行っている。研修後や面談後の細やかなフォローが強み。特に若手社員の「お母さん的存在」として、精神面のフォロー役を担っている。
家族:夫、長女、長男

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