こんにちは、くすだです。
2025年度3月号の『企業と人材』(産労総合研究所)より、ブログでの要約レポを始めました。
企業に属さずフリーで活動している私にとって、こうした専門情報誌で最新のトレンドに触れることは非常に重要だと改めて実感しています。
この機会を「読んで終わり」にせず、学びを整理しながら共有していくために、今後は定期的にブログへまとめていきたいと思います。
前回は『企業と人材』2025年10月号より、ネガティブフィードバックに関する記事をまとめました。
今回は『企業と人材』2025年11月号より、前回に続いてネガティブフィードバックに関する記事(連載第2回目)を取り上げます。
記事タイトル
メンバーの成長を支援するネガティブフィードバック
第2回 人材マネジメントにおけるギャップの発生理由
(マンパワーグループ シニアコンサルタント 難波猛)
■記事の概要
「ネガティブフィードバック」に関する連載第2回。ネガティブフィードバックとは、「一方的」なものでも「厳しい言葉を浴びせる」ものでもない。「ギャップを埋めるための双方向のコミュニケーション」である。
1.「ネガティブフィードバック」=「ギャップ」の解消
- ネガティブフィードバックは、メンバーを無理やり変えるために厳しい言葉を浴びせる行為ではない。
- 「会社や上司の期待」と「メンバーの現状や志向」との間にあるギャップを明らかにし、それを埋める方法を共に考える双方向コミュニケーションである。
- 「人」ではなく、「ギャップ」に着目することがポイント。
- 「人」に焦点を当てると感情的になりやすく、泥沼化やパワハラのリスクが上がる。
- 「ギャップ」に焦点を当てることで、同じ方向を向いて協力的な対話ができる。
2.「ギャップ」を構造的に整理する方法
- 「WILL」「MUST」「CAN」(キャリアデザインで使われるフレームワーク)
- 3つの円が大きく重なるほど本人にも組織にも望ましい状態となる。
- 多くの場合どこかにズレが生じる(下記参照)。
- 仕事への意欲や情熱が減少している(WILL)
- 組織の期待と本人の行動がズレている(MUST)
- 方向性も理解して意欲もあるが能力が不足している(CAN)
- 特に上司が把握しにくいのが「WILL」。
- 日々の業務では「MUST」や「CAN」が中心になりがち。
- 「WILL」を無視した指示は「やらされ感」につながりやすい。
3.「WILL」の課題=「縮小」
- 組織で働く人は、基本的に何らかの「WILL」をもって入社する。
- 「WILL」が縮小する理由:「理想と現実のギャップ」「仕事の飽き」「承認や賞賛の欠如」「人間関係」「体調不良」など多岐にわたる。
- 意欲が低下していそうなメンバーに「前向きになれ」と言っても効果がない。
- 「当社を選んだ理由」「仕事をしていて嬉しい瞬間」「将来のありたい姿」「公私含めて大事にしたいこと」などを誠実な関心をもって傾聴することが大切。
4.「MUST」の課題=「ズレ」
- 「MUST」のギャップは、経験を積んだ人ほど起きやすい。
- 同じ業務や組織に長く従事することで、慣れた仕事に安心し、コンフォートゾーンからなかなか出ようとしなくなる。
- 結果として、会社の戦略や市場環境の変化に対応できなくなる。
- 本人は「これまでどおり頑張っている」と思っていても、役割や方向性が変わってくると、期待された成果は創出できなくなる。
- 定期的な1on1などで、上司が組織の期待や方向性を具体的に伝えることが不可欠。
- 人は原則的に「自分が理解したいようにしか理解しない」性質があるため、上司とメンバーで認識の齟齬が発生している可能性がある。
- 「あなたが期待されている役割を、あなたの言葉で教えてもらえますか?」とオープンクエスチョンで確認するとよい。
5.「CAN」の課題=「内発的動機づけ」
- 「CAN」の不足は顕在化しやすいので、上司が指摘しやすいが、単に「この能力を高めなさい」と指示を出しても効果は限定的。
- 現在は、本人が自律的・継続的に能力開発し続ける「キャリア自律」が注目されている。
- 本人の中で「WILL」と「CAN」がつながり、「この能力を身につければ、自分が目指したいキャリア形成にもつながるし、会社の期待も実現できる」「そのための学習計画は自分で考えよう」といった納得感と自律性を醸成することが重要(内発的動機づけ)。
6.上司は「ギャップ」を一緒に埋める存在であり続ける
- 「WILL」を引き出し、「MUST」を合意し、伸ばすべき「CAN」を洗い出して、メンバー本人が行動計画を立てる。ここまでたどり着くには、粘り強い対話が必要。
- 上司とメンバーの双方が目指したい共通のゴールは、3つが大きく重なる状態。
- 上司に必要な姿勢:「行動計画は本人が決め、上司は支援に徹する」「メンバー一人ひとりに対する誠実な関心や期待をもつ」「ギャップがあることを責めずに、一緒に埋める存在であり続ける」
- 自律的な変化が求められる時代、個々人の「WILL」を無視して組織が成果を出し続けることは困難。
おわりに
今回は、『企業と人材』2025年11月号より、ネガティブフィードバックにおける「ギャップの捉え方」についてまとめました。
ネガティブフィードバックという言葉からは、「伝えにくい」「関係が悪くなるのではないか」といったイメージを持ちがちですが、本来は「人を変える」ためのものではなく、「ギャップを共に見つめる」ための対話であるという点がとても印象的でした。
特に、
- 「人」ではなく「ギャップ」に焦点を当てること
- WILL・MUST・CANのどこにズレがあるのかを見立てること
- そのうえで、本人の納得感と自律性を大切にすること
これらは、日々の1on1やOJTの質を大きく左右する視点だと感じます。
明日からの実践としては、
- 「この人が問題だ」と捉えるのではなく、「どのギャップが起きているのか?」と問い直す
- WILLに目を向けるための問い(大切にしたいこと、嬉しかった瞬間など)を意識的に投げかける
- 「期待している役割をどう理解しているか」を本人の言葉で確認する
といった小さな工夫から始めてみたいと思います。
上司は「正解を与える存在」ではなく、「ギャップを一緒に埋める伴走者」。
そのスタンスに立てるかどうかが、これからの人材育成の質を分けていくのではないでしょうか。ょうか。
ところで、私が『企業と人材』を読むきっかけをいただいたのは、私がパートナー講師を務める株式会社ラーンウェルの関根雅泰さんが、2024年度の連載「研修の価値を高める これからの研修評価」を担当されていたからです。
研修評価については現在、研修講師をしながら理論と実践の両輪を回しているところです。
今後も、研修評価に関する記事は積極的に取り上げていきますが、それ以外にも、私自身が「いいな」と思った記事を、私なりの視点でご紹介してまいります。
次回もどうぞお楽しみに。
