『企業と人材』2025年9月号レポ|「精神的成長」が鍵となる新入社員育成の再設計

企業と人材

こんにちは、くすだです。

2025年度3月号の『企業と人材』(産労総合研究所)より、ブログでの要約レポを始めました。
企業に属さずフリーで活動している私にとって、こうした専門情報誌で最新のトレンドに触れることは非常に重要だと改めて実感しています。

この機会を「読んで終わり」にせず、学びを整理しながら共有していくために、今後は定期的にブログへまとめていきたいと思います。

前回は『企業と人材』2025年9月号より、新入社員の意識変化が示す、これからの育成と組織づくりに関する記事をまとめました。

今回は『企業と人材』2025年9月号より、新入社員の「精神的成長」と育成のあり方に関する記事を取り上げます。

記事タイトル

今求められる新入社員研修と職場定着に向けた支援
(アル―株式会社 人材育成コンサルタント 孔令愚)

■記事の概要

今どきの新入社員は、「成長意欲はあるが、失敗や回り道は避けたい」と考える傾向がある。そうした傾向を踏まえ、新人・若手育成においては、本人が「成長実感」をもてるようにしていくことが重要になる。「成長」と一言で言っても、「能力的成長」と「精神的成長」があり、長期的に見ると「精神的成長」が重要になってくるが、特に今の新入社員は、「精神的成長」が課題である。

■記事の要約

1.今どきの新人の傾向

  • 新入社員研修で、「目先の心配事」に対する質問をされることが多くなった。
  • 「そんなのどっちでもいい」としか言えないような些末な問題でも明確な答えを求める。
  • SNSなどから大量の情報を仕入れてから入社してくるため、まだ仕事もしていないのに職場で直面する問題に対して「知っているつもり」になり、「答え合わせ」のための質問をしてくる。
  • 成長意欲はあり、積極的に質問をする姿勢からは、「早く仕事を覚えたい」「一人前になりたい」という思いが感じとれる。
  • 「最初から失敗したくない」「時間をムダにしたくない」という意識も強いため、すぐに正解を求めるような思考にもなっている。
  • これからの新人・若手育成は、「自分は職業人として着実に成長している」という実感をもてるようにしていくことが重要。

2.「精神的成長」の重要性

  • 「成長」とは?一般的には「仕事ができるようになること」という認識があるが、それはあくまで「能力的成長」であり、「成長」の一部分に過ぎない。
  • プロフェッショナルといえるような自立した職業人になるためには、「精神的成長」も不可欠。
  • 今の新入社員の多くは、学生時代にコロナ禍の影響で他人と直に接する機会を奪われており、精神面が未熟なまま社会人になっているケースがよく見られる。
  • 精神面が未熟なままでは、「何をすべきか」は理解できても「なぜそうすべきか」は理解できないため、研修で学んだことが現場で実践できない。
  • 特にここ数年は、現場の上司や先輩社員から「基本的なマナーが全然できていない。人事は研修で何を教えているのだ!」といった苦情が教育担当者のもとに多く寄せられている。
  • 新入社員のマナーや基本行動の定着が大きな課題となっている。

3.「精神的成長」を促すポイント

  • 「能力的成長」は、知識のインプットでも可能。
  • 「精神的成長」は、視野を広げるきっかけになる経験(=試練)を積ませるとともに、経験だけさせて放置せず、本人が経験から学べるように支援する必要がある。
  • 導入研修、フォロー研修、OJTといった育成施策を「点」ではなく「線」でとらえる。
  • 例えば、3年間の育成ストーリーを描いたうえで育成施策のコンセプトを決めるなど。
    (例)3年間の育成ストーリーの軸を「相手視点の獲得」とした場合
    【1年目】組織になじむ→顧客意識・目的意識を築く→成長実感をもつ
    【2年目】相手の期待を超える
    【3年目】自分なりの判断基準をもつ

4.2025年度の新入社員教育のポイント

  • 2025年度の新入社員は、やり方や意義の理解ができれば実行は早い。
  • 一方で、自分は周囲からどう見られているのか、周囲が見ている中でどのような行動をとるべきか、といった「相手視点」が弱い。
  • ビジネスマナーの研修で、講義中や講師の前では行儀よく振舞うものの、休憩時間になると自由奔放に行動したり、教室の外で大騒ぎをしてしまうといったことがあった。
  • 人事が注意をするといったんは静かになるが、誰も見ていなければまた騒ぎ出す。
  • 研修で「相手視点」について学んだとしても、「その場に他の人がいなければ何をしてもよい」と判断してしまう。
  • 「相手視点」という言葉を理解しても、肌感覚では理解していない。
  • 単に知識として教えるのではなく、「なんのために実践するのか」を体験できる場を設計する。
  • 「自分にはその視点はなかった」「自分にはまだ見えていないことがあった」ということを気づかせる。
  • ダメ出しばかりではなく、本人の「行動」に対するフィードバックを客観的な視点から伝える。
  • 新入社員が学ぶべきことの本質は変わらないので(「社会人の基本」「ビジネスマナー」「仕事の進め方」など)、研修では奇をてらう必要はなく、伝わり方や関わり方を新入社員に合わせて変えていく必要がある。

5.配属後のOJTのポイント

  • アル―の調査によると、入社1年間で「成長実感」「働きがい」が著しく低下し、特別なフォローが必要と判断された新入社員は5人に1人の割合でいた。
  • 「OJTの当たりはずれ」がある。
  • 「業務のやり方を教えるだけのOJT」が少なくない。
  • 本人が自ら「経験学習サイクル」を回せるように支援することが重要。
  • 「やってみてどうだった?」と問いかけ、「内省」を促す。
  • 本人が「お客様への説明が一方的だったかな?」とふり返っていたら、「説明する時、お客様の表情を見ていましたか?」とフィードバックし、「教訓」を導き出させる。
  • 「次はお客様の表情を見ながら話そう」と心がけるものの、新しい行動を「試行」するのは容易ではないので、先輩が声をかけたり背中を押したりといった励ましが必要。
  • ダメ出しや「自分で考えろ」と放置ではなく、教える側も「相手視点」に立つ。
  • OJTの「質」と「量」の担保のため、生成AIを活用する。
  • 生成AIに日報添削や週報へのフィードバックを任せることでOJT担当者の負担軽減。
  • AIに評価基準を組み込み、公平性のあるフィードバックを行う。
  • 新入社員がAI相手に壁打ちし、多様な視点を得たりアウトプットの質を高めたりする。
  • AI相手であれば新入社員は何度でも失敗・挑戦できるので、実践の場数を圧倒的に増やせる。

6.人事・人材開発部門の役割の変化

  • これまでの人事・人材開発部門の役割は、育成施策の企画や運営が中心だった。
  • 今は、職場での育成を支援するための仕組みづくりやAIの活用も含まれる。
  • 特に、新入社員と接点のある全員が育成に関わるような組織風土づくりが重要視。
  • 人事・人材開発部門が「ハブ」になってそれぞれの部門をつなぎ、職場全体で新人を支援する体制をつくっていく。

おわりに

新入社員は決して成長意欲が低いわけではなく、むしろ「早く成長したい」という思いを強く持っています。
ただ、その分「失敗を避けたい」「正解を知りたい」という気持ちも強く、経験から学ぶプロセスが十分に育まれていないという課題があると感じました。

だからこそ、これからの育成においては
・経験させて終わりにしない
・内省を支援する関わりを行う
・研修とOJTを「線」でつなぐ
といった視点がますます重要になるのだと思います。

明日からの実践としては、
・「やってみてどうだった?」と問いかける
・行動に対する具体的なフィードバックを意識する
・本人の中にある気づきを引き出す関わりを増やす

こうした積み重ねが、新入社員の「成長実感」を高め、結果として職場定着や主体的な行動につながっていくのではないでしょうか。

研修評価については現在、研修講師をしながら理論と実践の両輪を回しているところです。

今後も、研修評価に関する記事は積極的に取り上げていきますが、それ以外にも、私自身が「いいな」と思った記事を、私なりの視点でご紹介してまいります。

次回もどうぞお楽しみに。

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楠田 理恵くすだ りえ

リフェクション 代表

埼玉県生まれ。
明治大学法学部卒。大学卒業後、専門商社で16年間事務職に従事。最初の10年は、総務部にて人事、労務、採用、育成、庶務等、幅広く担当。この頃、「社員の相談窓口的な存在」「新入社員のフォロー役」という立ち位置を確立していった。
出産・育休を経て復帰後は、短時間勤務で働くいわゆる「時短ワーママ」を経験。また、2人目の育休から復帰後は、働きながら心理学を学び直し、キャリアコンサルタント(国家資格)を取得。

その後、子供2人の成長に合わせた「働き方改革」を段階的に進め、2021年に起業。
現在は、フリーランスのキャリアコンサルタントとして、企業研修、若手社員の1on1面談を行っている。研修後や面談後の細やかなフォローが強み。特に若手社員の「お母さん的存在」として、精神面のフォロー役を担っている。
家族:夫、長女、長男

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