こんにちは、くすだです。
2025年度3月号の『企業と人材』(産労総合研究所)より、ブログでの要約レポを始めました。
企業に属さずフリーで活動している私にとって、こうした専門情報誌で最新のトレンドに触れることは非常に重要だと改めて実感しています。
この機会を「読んで終わり」にせず、学びを整理しながら共有していくために、今後は定期的にブログへまとめていきたいと思います。
前回は『企業と人材』2025年9月号より、新入社員の「精神的成長」と育成のあり方に関する記事をまとめました。
今回は『企業と人材』2025年10月号より、企業の教育研修費用の実態と、人材開発の今後の方向性に関する記事を取り上げます。
記事タイトル
2025年度(第49回)教育研修費用の実態調査
(産労総合研究所)
■記事の概要
1976年以来実施されている本誌による「教育研修費用」の実態調査。
10月号のメイン記事で、本誌の約半分が割かれている。最初に「調査結果の概要」が6ページにまとめられ、その後43ページにわたり「調査結果の集計表」が公表されている。
調査対象は上場企業および会員企業から任意抽出した約3,000社で、期限までに回答のあった159社で集計。
「教育研修費用」には、会場費・宿泊費・飲食費、外部講師費、教材費、外部教育機関への研修委託費およびセミナー・講座参加費、eラーニング・通信教育費、公的資格取得援助費、受講者・社内講師の日当・手当・交通費、事務局費用、その他教育研修に必要な費用が含まれる。ただし、教育スタッフ、受講者などの人件費(給与)は含まない。
各調査結果には、「調査計」とその内訳(「企業規模別」「製造業か非製造業か」「研修施設保有ありなし」)がまとめられている。「前年度との比較」や「過去数年間の推移」を明らかにしている調査もある。調査は選択式だけでなく記述式のものもあり、一部定性コメントも見ることができる。
また、企業ごとの調査回答を一覧にした表もある。例えば、「情報通信・従業員数2500人」という企業が、研修に年間どのくらいの費用をかけ、どんな研修を行ったか、個別の回答を見ることができる。
1.1社あたりの教育研修費用総額
- 2024年度予算:5,084万円
- 2024年度実績:4,192万円
- 2025年度予算:5,368万円
【参考】企業規模別の2024年度実績額
- 1000人以上:9,382万円
- 300~999人:2,302万円
- 299人以下:563万円
【参考】業種別の2024年度実績額
- 製造業:4,651万円
- 非製造業:3,965万円
2.従業員1人あたりの教育研修費用
- 2024年度予算:41,848円
- 2024年度実績:36,036円
- 2025年度予算:46,545円
【参考】企業規模別の2024年度実績額
- 1000人以上:39,553円
- 300~999人:36,195円
- 299人以下:31,788円
【参考】業種別の2024年度実績額
- 製造業:29,514円
- 非製造業:39,253円
3.2024年度予算と2025年度予算の比較
- 「増加」した企業:57.3%
- 「減少」した企業:24.2%
- 「増減なし」:18.5%
【参考】企業規模別の「増加」した企業の割合
- 1000人以上:53.8%
- 300~999人:63.6%
- 299人以下:53.7%
【参考】業種別の「増加」した企業の割合
- 製造業:58.5%
- 非製造業:56.6%
4.2024年度の外部講師・教育機関への支払い総額と、教育研修費用総額に占める割合
- 支払総額:2,950万円
- 支払い割合:64.8%
【参考】企業規模別の支払総額・割合
- 1000人以上:7,912万円・55.8%
- 300~999人:1,044万円・63.8%
- 299人以下:309万円・73.1%
【参考】業種別の支払総額・割合
- 製造業:3,792万円・74.5%
- 非製造業:2,499万円・59.5%
5.教育研修費用予算を策定する際に最も優先する基準
- 前年度の実績額:39.5%
- 毎年の必要額をゼロベースで積み上げる:24.8%
- 前年度の予算額:15.3%
- 特に基準はない:14.6%
- 従業員1人あたりの教育研修費用:3.2%
6.教育研修費用総額の今後(1~3年)の方向性
- 増加:57.7%(かなり増加する見込み+やや増加する見込み)
- 減少:7.0%(やや減少する見込み+かなり減少する見込み)
- 現状維持:35.3%
7.研修の実施主体の割合
- 本社人材開発部門が実施する研修の割合が増えている:32.9%
- 各事業部門が実施する研修の割合が増えている:19.4%
- 本社人材開発部門と各事業部門の研修の割合に変化はない:41.3%
8.2024年度に実施した各種教育研修の1人あたりの費用
①階層別教育
- 経営幹部教育:37.1万円
- 上・中級管理者教育:13.4万円
- 初級管理者教育:7.4万円
- 新入社員教育:7.4万円
- 中堅社員教育:4.6万円
②職種別・目的別教育
- 選抜型幹部候補者育成教育:41.3万円
- 中途採用者教育:8.0万円
- キャリアデザイン・ライフプラン教育:4.7万円
- 技術・技能者教育:2.5万円
- OJT指導員教育:1.8万円
- メンタルヘルス・ハラスメント教育:0.8万円
9.2025年度の予算で実施予定の教育研修(複数回答)
①階層別教育
- 新入社員教育:90.2%
- 新入社員フォロー研修:77.1%
- 中堅社員教育:71.2%
- 初級管理者教育:68.6%
- 中級管理者教育:66.7%
- 上級管理者教育:58.2%
- 内定者教育:46.4%
- 経営幹部教育:35.3%
②職種別・目的別教育
- メンタルヘルス・ハラスメント教育:50.3%
- OJT指導員教育:39.9%
- 中途採用者教育:38.6%
- 選抜型幹部候補者育成教育:37.3%
- キャリアデザイン・ライフプラン教育:35.3%
- リーダーシップ開発教育:32.7%
- 技術・技能者教育:32.0%
- CSR・コンプライアンス教育:31.4%
- 営業社員・販売員教育:29.4%
- コミュニケーションスキル教育:28.8%
10.2025年度特に重点的に取り組む教育研修(3つまでの複数回答、上位10項目)
- 新入社員教育:42.2%
- 中堅社員教育:22.4%
- 上級管理者教育:20.4%
- 中級管理者教育:19.7%
- 選抜型幹部候補者育成教育:19.0%
- 初級管理者教育:17.0%
- メンタルヘルス・ハラスメント教育:15.0%
- DX・デジタル教育:15.0%
- 新入社員フォロー研修:12.9%
- 技術・技能者教育:11.6%
11.自社における生成AIの導入・活用状況
①導入・活用状況
- 導入・活用している:49.0%(全社:56.8% 一部の部署:43.2%)
- 会社では導入しておらず、各部・個人に任せている:29.3%
- 導入しておらず、今後も予定はない:14.0%
- 導入予定・準備中:7.6%
②生成AIに関する研修の実施やガイドラインの策定の有無
- 行っている:85.4%
生成AIに関する研修を実施:58.1%
生成AIに関するガイドラインやルールを作成:50.0%
生成AIの導入・活用に関する説明会を実施:32.6%
生成AIに関する相談窓口などの運用体制を構築:12.8%
その他:8.1% - 行っていない:14.6%
12.人事・人材開発部門における生成AIの活用状況
①活用状況
- 活用している:60.0%(会社・部署の方針:20.5% 個人の判断:79.5%)
- 活用していない:39.4%
- その他:0.6%
②活用場面
- 教育研修に関する業務:53.8%
- 採用活動に関する業務:38.5%
- エンゲージメント・オンボーディング施策:15.4%
- 人事評価に関する業務:7.7%
- 人事計画・タレントプール:6.6%
- 健康診断などの福利厚生施策:2.2%
おわりに
今回は、『企業と人材』2025年10月号より、2025年度(第49回)教育研修費用の実態調査の記事をまとめました。
調査結果を見ると、教育研修費用は今後も増加傾向にあり、企業が人材育成への投資を重視していることがうかがえます。特に、新入社員教育や管理職教育に加え、メンタルヘルス・ハラスメント教育、DX・デジタル教育、生成AIに関する研修など、時代の変化に応じたテーマへの関心も高まっていると感じました。
また、教育研修費用の多くが外部講師や外部教育機関への支払いに充てられている点も、フリーランスで研修やキャリア支援に関わる立場として興味深い結果でした。企業の人材開発は、社内だけで完結するものではなく、外部の専門家や教育機関との連携によって支えられている面も大きいのだと思います。
数字を追うだけでなく、その背景にある「企業は今、どのような人材を育てようとしているのか」「どの領域に課題意識を持っているのか」を考えることで、今後の研修設計や支援のヒントにもつながりそうです。
ところで、私が『企業と人材』を読むきっかけをいただいたのは、私がパートナー講師を務める株式会社ラーンウェルの関根雅泰さんが、2024年度の連載「研修の価値を高める これからの研修評価」を担当されていたからです。
研修評価については現在、研修講師をしながら理論と実践の両輪を回しているところです。
今後も、研修評価に関する記事は積極的に取り上げていきますが、それ以外にも、私自身が「いいな」と思った記事を、私なりの視点でご紹介してまいります。
次回もどうぞお楽しみに。
