一冊一会(5)

読書記録
  • 読書会議主催者:Kazumaさん
  • 課題本:人文知は武器になる(山口周 深井龍之介 著/文春新書/2026)
  • 推薦者:かないさん
  • 読書メモ:第1章の7・8より

出会ったことば

幸せだと思っていた生き方が否定される

  • 現代の大きな特徴だと考えているのが、社会規範や倫理がコロコロ変わる(深井)
  • 一人の人間が生きている間に社会規範や倫理がコロコロ変わることを経験するのは、僕たちが初めての世代(深井)
  • それは非常に特殊なので、メタ的視点を持っていないと、かなり辛い(深井)
  • 自分が幸せだと思っていた生き方が否定されるとか、通用しないとかいうことが起こる(深井)

アジア・インド的な哲学が鍵に

  • これだけ短期間に規範が崩壊するというのは近代以前にはなかった(山口)
  • フランスの社会学者、エミール・デュルケームは、1897年に著した『自殺論』の中で、「アノミー(anomie)」ということを言った(山口)
  • アノミーとは社会の規範が崩壊して人々が何に従って行動すべきかわからなくなった状態で、それが自殺の原因の一つになるんだとデュルケームは言っている(山口)
  • COTENがいま進めている研究のなかで「フロンティアがない時代には、倫理が複雑化する傾向」がありそうだというのが見えてきている(深井)
  • フロンティアがない時代に、自分の利益だけを追求する態度をとると、争いが起こる(深井)
  • この倫理の複雑化を加速させたのが、インターネットとスマートフォンの登場(深井)
  • 矛盾する複数の倫理観が並立する世界を前提として、それでも対話できる知性が求められている(深井)

企業が国家機能の一部を担っていく

  • 現代は国民国家が構造疲労を起こして力を失っているので、その機能の一部を、これからは企業が担っていくようになる(深井)
  • そうした状況下では、単に利益を上げるだけでなく、「あなたの会社は何のためにあるのか」を明確に定義し、提示することが強く求められる(深井)
  • 企業が長期的に信頼を勝ち得るには、ブランディングや広告ではなく、行動や判断、社会への姿勢に一貫性があることが不可欠(山口)
  • 経済学の原則として「過剰なものの価値は下がり、希少なものの価値は上がる」ので、変化の激しい時代においては、変わらずに価値を持ち続けるものは何かが問われる(山口)

企業価値はどうすれば高められるのか

  • 社会的な存在価値をきちんと説明できること(深井)
  • 自分のやっていることが歴史的な流れ、大きなコンテキストの中でどういう役割を果たしているのかという意識がすごくある(山口)
  • 5年、10年で考えるようなものではなく、やっぱり50年、100年というコンテキストの中に位置づけたときに初めてみえてくる(山口)

優秀な人材を確保するには

  • 日本企業の今後の発展を考えたとき、阻害要因になるだろうなと私が思っているのが、特に大手企業の採用基準が、高度経済成長の時代とほとんど変わっていないということ(山口)
  • 代表例は、「与えられた問題に対して実直に正解を出せる能力」(山口)

なぜ過去に多くの企業や産業が滅びていったのか

  • AIの費用が安くなり、与えられた問題を解決するコストが下がると、その能力は過剰供給されるので、過去の歴史のパターンから考えると、価値が下がる(山口)
  • 過去の歴史から見て、過剰供給されると何が起こるかというと、ボトルネックが隣の工程に移動する(山口)
  • ボトルネックを解消しようとするところに、イノベーションやビジネスチャンスが生まれてきた(山口)
  • 正解を出す能力が上がったいま、ボトルネックとなっているのは、次の二つの能力「おもしろい問いを立てる能力」「出した解を実行する能力」(山口)

これからのリーダーに求められる力

  • この不安定な世界の中で、政治家がなんとかしてくれるならそれが一番いいが、正直あまり期待できない(深井)
  • 政治家が悪いというより、構造的に中長期的なことを考えるのが難しい(深井)
  • 相対的に役割が広がっているのがビジネスパーソン(深井)
  • いまは、ビジネスパーソンが壮年期の大人として振る舞い、自覚的に社会のために動かないと、社会システム自体が崩壊してしまうようなフェーズに入っている(深井)
  • 求められるのは、目先の利益を上げるスキルではなく、社会を読み解く深い洞察力(深井)
  • 歴史的な視点を持ったうえで、いまと未来を考えていくということは、これからのリーダーには絶対求められる(山口)
  • 歴史を知らないと、情報が少なくて判断できない(深井)
  • 歴史的に見て「一時的なノイズ」なのか「不可逆な構造変化」なのかを判断するのに必要な知識が圧倒的に不足してしまう(深井)

本との対話

  • 「一人の人間が生きている間に社会規範や倫理がコロコロ変わることを経験するのは、僕たちが初めての世代」「それは非常に特殊なので、メタ的視点を持っていないと、かなり辛い」という話は、個人的に刺さりまくり。例えば誰かと今この時代を一緒に生きていても、世代が違えば、背景が変わる。価値観が変わるのも当たり前。それをいつも意識しておきたい。
  • 「アノミーとは社会の規範が崩壊して人々が何に従って行動すべきかわからなくなった状態で、それが自殺の原因の一つになる」という話も、納得。心を病む原因に十分なり得る。
  • 「矛盾する複数の倫理観が並立する世界を前提として、それでも対話できる知性が求められている」。これはかなり難易度が高いけど、人文知を学ぶこととメタ認知の訓練で、今ここからでも身に付けていけるのではないか、という希望を持っている。私は「対話できる知性」とは思考の柔軟性だと思っているが、年齢を重ねても(年齢を重ねるほど思考の柔軟性は低下するという説がある)、柔軟な方は身近にいらっしゃる。何もしなければ低下するのかもしれないが、年齢を重ねるほど柔軟性を増している人もいるわけで。後者の人の振る舞いや習慣を観察していると、違いが見えてくる。…そこには確かに人文知が存在している。
  • その他の面白かったトピックは、「聖書を文学的に読む」「読書は身体行為」「学んだことで絶望することも」「ジョギングやダイエットと同じ」など。「はじめに」(山口さん)と「おわりに」(深井さん)もよかった。
  • まだ全部読めていないので、次に読んでみたいトピックは、「失敗するリーダーと組織の共通点」「日本の経営者はエキスパートの活用が苦手」「社会の規範は技術革新で変わる」「日本が主導できる領域」「大阪のおばちゃんのウィズダム」「言語化できないけど実践できる」など。面白そう!

読書会議

  • 読書会議で話題にあがったトピックは、「希少なリソースへのアクセス権」「具体的な問いか、抽象的な問いか」「孫氏の兵法をビジネスに活かす、みたいなことはナンセンス」「魔改造して取り入れる」「企業のパフォーマンスはすべて数字で示せるはずだ、という強い思い込み」「亀の甲羅で意思決定」など。他の人が注目したトピックと考察を聴くのはとっても楽しい!
  • 次回は、私が推薦させていただいた本。今度はちゃんと読了して参加したい。

Kazuma企画「読書会議(39)」に参加しました。 | 学び上手は、教え上手 | 株式会社ラーンウェル


人文知は武器になる/山口周・深井龍之介(文春新書)
読書会議(Kazumaさん主催)課題本

読書記録
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楠田 理恵くすだ りえ

リフェクション 代表

埼玉県生まれ。
明治大学法学部卒。大学卒業後、専門商社で16年間事務職に従事。最初の10年は、総務部にて人事、労務、採用、育成、庶務等、幅広く担当。この頃、「社員の相談窓口的な存在」「新入社員のフォロー役」という立ち位置を確立していった。
出産・育休を経て復帰後は、短時間勤務で働くいわゆる「時短ワーママ」を経験。また、2人目の育休から復帰後は、働きながら心理学を学び直し、キャリアコンサルタント(国家資格)を取得。

その後、子供2人の成長に合わせた「働き方改革」を段階的に進め、2021年に起業。
現在は、フリーランスのキャリアコンサルタントとして、企業研修、若手社員の1on1面談を行っている。研修後や面談後の細やかなフォローが強み。特に若手社員の「お母さん的存在」として、精神面のフォロー役を担っている。
家族:夫、長女、長男

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